企業版ふるさと納税
企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が金銭的あるいは人的な
寄付を行った場合に法人税等から税額控除ができる仕組みです。
ふるさと納税といえば個人の住民税を控除できる制度として認知されている事かと思いますが、
企業版のふるさと納税はあまり認知されていないのではないでしょうか?
企業版のふるさと納税には、金銭の寄付と令和2年に創設された人材派遣型の二種類があります。
純粋に金銭を寄付する方法が従来の企業版ふるさと納税でしたが、人材派遣型とは、
派遣する人材の人件費を含む事業費を自治体に寄付をし、そのプロジェクトへ自社の社員を派遣する事で
その寄付をした人件費の90%を税額控除するという制度です。
この企業版のふるさと納税を活用すると今だと最大で寄付額の90%が税額控除されます。
90%税額控除というのはかなりの節税効果があると思いますが、いくつか留意点があります。
①1回当たり10万円以上の寄付
②寄付を行う事の代償として経済的な利益を受ける事が出来ない。
③本社が所在する地方公共団体への寄付はこの制度の対象にはならない。
④地方交付税交付金を受け取っていない市町村への寄付はこの制度の対象にはならない。
といった制限があります。
経済的な見返りが無いとなると寄付をするメリットには何があるかというと大きく4つあると考えられます。
①SDGsの実現に向けた取り組みとして地域や市町村が抱える社会的問題を解決するお手伝いができる。
また、企業のCSR活動にもつながり企業イメージアップやブランド構築に貢献する。
②通常自治体と企業とのつながりは入札を通じたサービスくらいしか無いが、寄付を通じて共に
自治体の事業を創り上げるという共栄関係になり自治体とより強い関係性を保つ事が出来る。
③人材派遣型を利用すれば自治体の事業に参画する事ができ、そこで得た経験を自社にフィードバック
することが出来る。
④最大寄付額の90%の税額控除が適用され、上記のメリットが実質1割の支出で享受出来る。
などといったメリットが考えられます。
ただし、税額控除は最大で90%とありますが、実際の中小企業であれば90%MAXで控除できる場合は少ない可能性があります。
税額控除で良くある税額の20%が上限という上限設定がつけられているため、納税額が寄付額よりも少ない場合は税額控除の
メリットは思ったほどではないという事が考えられます。
税額控除は魅力的ではありますが、この企業版ふるさと納税を利用される場合は、社会貢献によるCSR活動という側面を
重要視した方が良いのではないかと思います。